2019年12月21日土曜日

把手状装飾付波状口縁深鉢(茅野市棚畑遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 292

尖石縄文考古館に展示されている把手状装飾付波状口縁深鉢(茅野市棚畑遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

把手状装飾付波状口縁深鉢(茅野市棚畑遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文中期
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
4面ガラス張りショーケース越しに撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 70 images

撮影写真の一例

3Dモデル正面 オルソ画像

作業仮説的解釈
この土器の模様解釈を展示館で購入した多数図書やwebで探したのですが見つかりませんでした。そこで3Dモデルを観察しながら思い浮かんだ自分勝手な解釈を作業仮説としてメモします。

把手状装飾付波状口縁深鉢(茅野市棚畑遺跡)の作業仮説的解釈
土器が3つのくびれで上下方向に4段に区分できます。そのうち最下段は男女交合場面と解釈しました。女性の後背から男性が向かっている場面です。最上段の渦巻は臍の緒を表現していて、出産が済んで臍の緒が次から次に出てくる場面と推定しました。
この土器は最下段から最上段にむけて交合→妊娠→出産を表現しているようです。
土器にJ字(逆J字)や横棒が表現されていますが、これを葉っぱと枯れ枝であると想像すると、交合の季節は春、その後夏、秋を経て出産は冬であることが分かります。
出産場面でなぜ睾丸がでてくるのか、そこらへんはよくわかりません。
なお、女性臀部と見立てた模様と同じものが加曽利貝塚博物館の昨年企画展で展示された「加曽利EⅢ~Ⅳ式両耳壺(りょうじこ)愛生遺跡出土」に見られます。

加曽利EⅢ~Ⅳ式両耳壺(りょうじこ)愛生遺跡出土
2019.03.04記事「加曽利EⅢ~Ⅳ式両耳壺の観察

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冬(ふゆ)の語源は「増(ふ)ゆ」であり、増殖の意味であるという折口信夫の論考を読んだことがあります。もし上記土器模様解釈が正しく、縄文時代の出産が冬であったのならば、その伝統習俗が延々と列島に伝わり、日本語「冬」の語源になっているのかもしれません。
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参考 カメラ配置



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