2019年12月7日土曜日

安行3a式注口土器(野田貝塚)3Dモデル

縄文土器学習 278

野田市郷土博物館所蔵の安行3a式注口土器(野田貝塚)を多視点周回撮影して観察記録3Dモデルを作成しました。
ガラス面で遮られたショーケース内展示土器の撮影とは異なり、机の上に置いた土器を撮影できましたので、難がほとんどない出来ばえのよい3Dモデルを作成することができました。

安形3a式注口土器(野田貝塚) 観察記録3Dモデル
撮影場所:野田市郷土博物館
撮影月日:2019.09.09
撮影及び掲載は野田市郷土博物館の許可による
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 49 images
野田市郷土博物館HP説明文引用
「サイズ : 口径180、底径40、高230」
「野田貝塚(野田市清水)から出土した注口土器。縄文時代晩期前半(安行3a式)のもの。写真右側に隠れているが、注ぎ口(欠損)がある。側面にあいている穴は紐を通して吊り下げて使用したものか。胴部に施された入組三叉文からは、東北地方を中心に栄えた亀ヶ岡文化の影響がみてとれる。」

撮影写真の1例

感想 1 入組三叉文に対する興味

安形3a式注口土器(野田貝塚) 観察記録3Dモデルで観察できる入組三叉文
これまでに撮影して3Dモデルを作成した安行3a式の注口土器、深鉢式土器には入組三叉文が施されているものが多くあります。

例 安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
2019.08.24記事「安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)の観察

例 安行3a式深鉢形土器 外ノ内貝塚 観察記録3Dモデル
ブログ縄文土器3Dモデル素材集2019.08.16記事「安行3a式深鉢形土器 戸ノ内貝塚 観察記録3Dモデル

次のような興味を深める活動をしたいと思います。
1 入組三叉文の文様としての認識を深め、それが意味するもの(文様・記号の構成、背後に潜む思考・感情など)を考察する。文様の典型例や系譜発展資料を学習する。
2 これまでに自分が観察あるいは3Dモデルを作成した縄文土器のうち入組三叉文のあるもの(及び別の模様のもの)を抽出して、時期・器種・分布等を考察する。
3 入組三叉文が亀ヶ岡文化特有のもので、その文化が南下して千葉に影響しているものであることを学習する(確かめる)。
4 列島において千葉あるいは関東が文化の中心であったころ(加曽利E式期)からどのようにして文化周辺域に地盤沈下していったのか考察する。これは人口分布の中心が千葉(関東)から東北に移動したことと対応している事象であると考えます。列島規模でみると中期末頃から後期・晩期に向かって人口稠密域が北上しています。千葉(関東)よりも寒く、雪が多い場所により多くの縄文人が暮らすようになりました。何故か?興味が湧きます。その様子の検討材料の一つとして入組三叉文の学習をすることにします。

感想 2 縄文晩期から弥生初頭への移行に関する興味
感想1で、自分の興味視点が「東北から千葉(関東)を見る」という相になりました。縄文時代晩期から弥生時代初頭の移行期の学習を深めたいと思います。空想的仮説である「千葉の弥生文化は東北から来た」2019.07.16記事「荒海式等縄文晩期最後期の遺跡密集地」が果たして生き延びることができるのか死滅するのか、思考を遊びたいと思います。

感想 3 3Dモデルの出来ばえ
これまでに作成した200以上の3Dモデルで、この安行3a式注口土器(野田貝塚)観察記録3Dモデルが最高の出来ばえの一つとなりました。
3Dモデルの最低の出来ばえから最高の出来ばえまでの条件の違いを分析したいと思います。
また、難のある3Dモデルの難を取り除き、修復する技術の習得に努めたいと思います。

参考 3Dモデル最初画面

参考 3Dモデル切り抜き画面
 

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