2019年12月10日火曜日

土偶(国宝仮面の女神)(茅野市中ッ原遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 282

国宝縄文のビーナスに続いて国宝仮面の女神も観察記録3Dモデルをつくりました。マスカレード機能を知らなかった時にはどんなに水準を下げても満足できるモデルを作成できませんでしたが、この度は一応のモデルをつくることができました。

土偶(国宝仮面の女神)(茅野市中ッ原遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:茅野市尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
4面ガラス張りショーケース越しに撮影 3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 82 images(Masquerade機能利用)
堀之内式Ⅰ式期頃の土偶と考えられているようです。

撮影写真の1例
縄文のビーナスとくらべさらにいっそう撮影条件が劣悪でした。ガラス面反射が尋常ではありません。

感想
3Dモデルからオルソ投影画像をつくり、しっかり観察できるようにしました。。

オルソ投影画像

3Dモデル及び撮影写真をじっくり観察すると次のような思考にたどり着きました。

仮面・帽子・服が接続具で接続されている様子
仮面・帽子・服が接続具で接続されていて、全体が一体の服飾品になっているように観察できます。
頭が頭髪の様子を表現しているのではなく、帽子を被っていると考えられます。
首背後の出っ張った逆Y字状器具は仮面・帽子・服の接続具であるとしか考えられません。
服は次の写真にあるように脇下に開きがあるものです。入れ墨を服と間違っているとは考えられません。

服の脇下が開いている様子
さらにこの服は陰部と臀部をわざと強調して露出するデザインとなっています。

服が陰部と臀部を強調露出しているデザインの様子

以上の際立った特徴、つまり女性が仮面・帽子・服が一体となったコスチュームをまとっていること、さらに陰部や臀部を強調露出していることが観察できます。

土偶が女性の祭祀道具であること(男性の祭祀道具は石棒)や縄文女性の最大の関心事(使命)が妊娠して出産することを前提に考えると、この土偶の意味も縄文女性の使命に関連するものであると考えます。
例えば、少女が妊娠や出産の年齢に達した時の「成女式」の様子を表現していると考えます。少女がこれから生殖活動に入るときの通過儀礼の様子をこの仮面の女神は表現していると仮説します。
このような仮説がどの程度合理性があるか、学習を進めればその適否の程度がそのうち明らかになると思います。
シャーマンとか、死の儀礼とかではないと思います。

なお、首の左右に比較的大きな穴が開いています。この穴に棒を通してつるしたとか、この穴に花を差し込んだとか、特別な理由があると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿