2019年12月16日月曜日

唐草文Ⅱ期深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 287

伊那市創造館展示の唐草文Ⅱ期深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

唐草文Ⅱ期深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:伊那市創造館
撮影月日:2019.09.12
3面ガラス張りショーケース越しに撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 34 images(Masquerade機能利用)

展示風景

観察と感想
1 口縁部の渦巻と波線 
口縁部が「縄」のような隆線で4つに区分され、それぞれの区分の中に2つの区画が作られています。2つの区画の間には渦巻とそれから伸びる波線が沈線で書かれています。

口縁部の渦巻と波線
渦巻と波線から湧泉とそれにより生じる細流をイメージしました。
もし湧泉と細流ならば、それが2つの区画の間を流れていることから、2つの区画は人間活動領域を表現していると推察できるかもしれません。
伊那谷に見られる解析された段丘や扇状地の様子を描写しているようにも感じられます。
渦巻はすべて右巻きです。

2 胴部の渦巻と4本線
胴部に沈線で渦巻とそれから垂下する4本(3~5本)の直線が2段にわたって描かれています。このセットが口縁部区画に対応して8つ(1つは撮影不能)存在しています。上の渦巻は右巻き、下の渦巻は左巻きで統一されています。
また、この渦巻直線2段セットの間に沈線で波線が描かれています。

渦巻直線2段セット+波線の様子
渦巻は湧泉であり、直線はそれから生じる川の流れであるとイメージしました。段丘崖下の湧泉の水が集まって川の流れを形成している様子を想像してしまいます。波線は段丘面にある浅い谷の流れかもしれません。

3 「土器正面」という意識
胴部に書かれている8つ(1つは観察不能)の渦巻直線2段セットの上部渦巻が2カ所で頸部・胴部区画線をわざと上書きしています。この上書きは土器正面を確定させる意識的行為であると考えます。

土器正面がC面である様子
BとCの間の上書きが激しく、CとDの間の上書きが少ないことから、C面が正面であると考えます。
また、C→D→A→Bという順番が存在していて、その順番が何らかの活動に使われていたと考えます。

土器の模様から浮かんだ上記イメージが妥当なものであるのかどうか、さらに学習を進めて、評価できるようにしたいと思います。

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