2020年3月20日金曜日

口縁部に渦巻文が多い土器の器形

縄文土器学習 380

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では加曽利EⅢ式土器として観察した加曽利EⅢ深鉢(酒々井町墨新山遺跡)企37の参考となる過去展示物を見つけましたのでメモします。(企37はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅢ深鉢(酒々井町墨新山遺跡)企37の観察と疑問
2020.06.16記事「口縁部に渦巻文が多い土器 他」で観察記録3Dモデルを掲載しながら加曽利EⅢ深鉢(酒々井町墨新山遺跡)企37を観察しました。

加曽利EⅢ深鉢(酒々井町墨新山遺跡)企37 展示の様子
この土器の小突起(小把手)が口縁部脇から外反して生えているように見えてしまいます。またその小突起の間の距離が短くて異様な感じです。(まるで猫の耳のようです。)
さらに全体が円形造形作品のような見せる効果を狙ったモノのような印象を受ける復元になっていて、本来の縄文土器器形をイメージしきれませんでした。

2 類似土器の「発見」
加曽利貝塚博物館の昨年度企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」の加曽利EⅢ式土器として展示されていた次の土器が企37土器と器形が大変類似していることに気が付きました。

加曽利EⅢ式渦巻文楕円区画文土器 No.21
大膳野北遺跡出土

加曽利EⅢ式渦巻文楕円区画文土器 No.21
大膳野北遺跡出土

加曽利EⅢ式渦巻文楕円区画文土器 No.21
大膳野北遺跡出土
2019.03.01記事「加曽利EⅢ式渦巻文楕円区画文土器の観察

加曽利EⅢ式渦巻文楕円区画文土器 No.21土器はEⅢ式土器の波状や突起がほとんど4単位のものばかりであるのに対して、6単位です。
さらにNo.21土器をよく見ると、小突起を除いた器形はキャリパー形をしています。つまり小突起を除いた口縁部は全体として内湾しています。しかし小突起は口縁部内湾を拒否して直立しています。さらにはわずかに外反しているものもあります。
このNo.21土器の一部を円形造形物的に切り取ればあたかも企37土器のように見えてしまうことが確認できます。
つまり、企37土器の復元全体器形はNo.21土器と大変類似していると考えることができました。


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