尖石縄文考古館に展示されている国宝土偶「仮面の女神」出土状況ジオラマの3Dモデルを作成しました。
1 「仮面の女神」出土土坑と隣接土坑のジオラマ 3Dモデル
「仮面の女神」出土土坑と隣接土坑のジオラマ 3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館 展示室B
撮影月日:2020.03.13
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 65 images
展示の状況
2 ジオラマの理解
守屋昌文著「国宝土偶「仮面の女神」の復元 中ッ原遺跡」(新泉社)に掲載されている
情報を元にジオラマを理解しました。
「仮面の女神」が出土した土坑と隣接する土坑
守屋昌文著「国宝土偶「仮面の女神」の復元 中ッ原遺跡」(新泉社)から引用
ジオラマの解釈
3つの土坑が並び、仮面の女神出土土坑の両脇の土坑は鉢被せ葬が行われた墓坑です。仮面の女神は完形品が一部破壊され、破片が胎内に入れられるなど複雑な行為の後、横たわって埋置されています。横たわる被葬者と向かい合うように、抱き合うような状況で出土しています。被葬者は女性で、この土偶を所有(あるいは受け継いだ)人であると考えられます。
私はこの土偶は例えば「成女式」(生殖活動に参加する年齢=婚姻年齢に達した女性のお祝いの式)の様子を表現していると想像しています。したがって、被葬者は(有力家族の嫁入り前後の)若い女性だと空想します。
2019.12.10記事「土偶(国宝仮面の女神)(茅野市中ッ原遺跡) 観察記録3Dモデル」
追記
守屋昌文著「国宝土偶「仮面の女神」の復元 中ッ原遺跡」(新泉社)では第94号土坑が作られてから時間がたち、その場所があいまいになり、その後第70号土坑が掘られた。場所があいまいだから第70号土坑は第94号土坑を切ったという趣旨の想定をしています。
別の解釈として、第94号土坑(墓)被葬者と第70号土坑(墓)被葬女性とは血縁が近く、わざと第94号土坑(墓)を切って第70号土坑(墓)が建設されたと考えることもできます。わざと血縁の近いものどうしの墓を切って(オーバーレイさせて)建設し、親族の団結の強さを確認しているものと考えます。大膳野南貝塚の学習でも同様の現象が多出していて、間違えて切ってしまったとは到底考えられません。わざと切って、絆を形に残しているのだと思います。
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