2019年7月9日火曜日

縄文土器形式別遺跡数の較正年代対比

縄文土器学習 178

1 縄文土器形式別遺跡数仮集計グラフと較正年代資料
縄文土器形式別遺跡数の仮集計を行いました。
2019.07.08記事「縄文土器形式別遺跡数統計の仮集計」

千葉県 縄文土器形式別遺跡数(仮集計)
このグラフを較正年代資料と対比させ、遺跡数を較正年代のスケールで把握することにチャレンジします。

縄文土器形式別較正年代資料

2 土器形式等の便宜的とりまとめ
較正年代資料の土器土器形式分類に遺跡数資料を合わせることとして、次のような便宜的まとめをしました。

土器形式等の便宜的まとめ
晩期については土器形式区分について較正年代資料と遺跡数グラフの対応関係の検討は行いませんでした。遺跡数データをそのまま使うことにします。その理由は、検討しても区分数が減らないことと、遺跡数データの安行式が後期安行と晩期安行一緒になっていて、詳細検討の意味が虚弱なためです。

便宜的なまとめによる縄文土器形式別遺跡数
グラフが連続して縄文社会消長の大局的イメージを捉えることができます。
条痕文の時代(茅山式の時代)、諸磯(浮島式の時代)、加曽利E、加曽利Bの4つの時期に遺跡数増加のピークがあることが直観できます。
そのうち加曽利Eが最高の遺跡数増加ピークです。
同時に称名寺の時期に社会が急速に衰退したこと、加曽利Bのピークの後社会が衰退の一途をたどって縄文社会が終焉したことがわかります。
次にこのグラフを較正年代資料に載せてみました。

3 縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比

縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比
土器形式の継続期間と遺跡数の両方を同時にみることができる資料となっています。この資料を詳しく分析することによって単純な遺跡数増減分析から、より高度な社会消長分析に移行することができると考えます。
例えば、早期撚糸文期と晩期の2つを比較すると継続期間(800年くらい)・遺跡数(400くらい)のセットが似ています。遺跡数から見る限り、縄文晩期社会の零落状況は縄文早期前葉期社会状況に匹敵すると考えることができるかもしれません。

4 感想
・縄文時代社会消長の概略イメージを少しづつ描くことができてきたと考えます。
・データの取り扱いは雑駁な面もありますが、最初の大局観ができることの意義は大きいと考えます。
・次の記事で遺跡数/継続期間という指標の検討をしたいと思います。

2019年7月8日月曜日

縄文土器形式別遺跡数統計の仮集計

縄文土器学習 177

縄文土器形式別遺跡分布図作成のために、形式別遺跡統計を仮集計しました。

1 縄文土器形式等別出土遺跡数(仮集計)

千葉県 縄文土器形式等別出土遺跡数(仮集計)

千葉県 縄文土器形式等別出土遺跡数(仮集計)

2 感想
・出土遺跡数が多い土器形式を順番にリストアップすると次のようになります。
1 加曽利E 1251 (中期)
2 加曽利B 873 (後期)
3 堀之内 602 (後期)
4 阿玉台 527 (中期)
5 茅山 485 (早期)
6 黒浜 415 (前期)
7 安行 400 (晩期)
7 浮島 400 (前期)
9 諸磯 269 (前期)
10 田戸 221 (早期)
11 称名寺 220 (後期)
・その形式土器の出土遺跡が多いということは社会の空間領域が広がっていて、いわば社会が発展していた時期という大局観を得ることができます。縄文社会消長を考える上で特に興味深い時期である言えます。また遺構や出土物が多いのですから社会の様子が詳しくわかります。
上記11の土器形式学習は特別深める価値があると判りました。
・今年の1月2月に加曽利貝塚博物館で加曽利E式土器企画展が開催され、学習を深めることができましたが、結果として学習出発点でラッキーチャンスに巡り会えたことが回想できます。
・加曽利E、加曽利B、安行などの細分情報を今後詳しく集計する予定です。
・土器形式の存続年数とこの統計を対応させて、概略の社会消長分析ができないか、今後検討します。
・土器形式別分布図を全て作成し、比較することにします。

・出典となる私家版千葉県遺跡データベースはWEBで公開されていた千葉県「ふさの国文化財ナビゲーション」データを昨年秋にダウンロードし、それを元として調整・修正・図書情報等追記し、さらに位置情報を加えたものです。基本的ベースは千葉県行政情報ですが大幅に改変し更改していますので私家版千葉県遺跡データベースと称しています。(2019.07.08現在レコード数(遺跡数)20130)

・このような統計は見かけたことがありませんから、今後の土器学習上価値のある情報だと直観します。

3 時代別・時期別遺跡数(仮集計)

千葉県 時代別・時期別遺跡数(仮集計)

千葉県 時代別・時期別遺跡数(仮集計)
較正年代による各時期の年数(継続年数)をaとし、遺跡数をbとしたときb/aを算出して、時代別・時期別の人々の活動の濃さ(≒平均人口?)を検討したいと考えています。

2019年7月6日土曜日

縄文土器展開写真の作成

縄文土器学習 176

見よう見まねで、かつ原始的方法で、縄文土器展開写真を作成しました。素人チャレンジとしてはそれなりの品質の展開写真ができたと思います。

1 展開写真作成対象土器と観察記録3Dモデル

展開写真作成対象土器
船橋市飛ノ台史跡公園博物館展示(2019.02)の船橋市海老ケ作貝塚出土獣面把手土器を展開写真対象土器としました。
四周から障害物なく写真が撮れる環境のため、次の質の高い観察記録3Dモデルを作成することができました。

獣面把手土器 海老ケ作貝塚 観察記録3Dモデル(展開図作成)

2 展開写真作成の方法
パソコンソフト3DF Zephyr Liteで3Dモデルを水平方向にオルソグラフィック投影しました。

水平方向にオルソグラフィック投影した3Dモデル

参考 通常投影の3Dモデル

水平方向オルソグラフィック投影した3Dモデルを4度ずつ回転させながらその都度画像を作成し、360度回転させ、90枚(実際は重複をいれて99枚)の画像を取得しました。

4度ずつ回転させてその都度作成した画像(一部)

次に99枚の写真をスリット状に切り抜いた写真を作成し、それを横に画像がつながるように並べて展開写真を作成しました。

3 展開写真

スリット状写真から作成した展開写真
土器前面は際立った難は存在しない画像となります。土器の対向後面の把手はギザギザの画像となり難となりました。

2019.07.09追記
後面把手がギザギザになったのはスリット写真を切り抜いた場所が回転軸からずれていたことが原因かもしれないと気が付きました。回転軸を探して、その軸を中心にスリット写真を作って展開写真を作り直すチャレンジをいつかしたいと思います。


参考 発掘調査報告書に掲載された土器実測図
「海老ケ作貝塚 -縄文時代中期集落祉調査報告-」(1972、船橋市教育委員会)から引用

4 感想
・通常のスナップ写真44枚から土器展開写真を気軽に作ることができました。観察記録3Dモデルが出来ている状態ですが、思い立ってから半日で完成しました。
・通常の展示土器の展開写真は対象域が狭くなるのでもっと短時間で作成できそうです。
・土器文様の理解のための学習資料として土器展開写真が活用できそうです。文様の特徴等を表現(情報発信)する際に平面図の方が適切な場合も多いと考えます。
・多量画像をPhotoshopにレイヤーとして読み込み、その多量レイヤーをファイルとして出力する方法を最近知ったので、作業が効率的に済みました。
ブログ花見川流域を歩く番外編2019.04.07記事「Photoshop 画像の一括レイヤー読み込み、レイヤーの一括ファイル書き出し」
・手作業は全てバッチ処理可能と直観できますから、そのためのソフト(機能)は世の中のどこかにあるに違いありません。今回の作業はあまりに原始的です。3Dモデルからワンタッチで展開写真をつくるソフトを探したいと思います。ペーパークラフトの型紙をつくるソフトで展開写真ができないか?
・博物館や図書で縄文土器展開写真が大仰に展示・紹介されていますが、今は誰でもできるものになったことを実感しました。

2019年7月5日金曜日

縄文土器形式別遺跡分布図作成

縄文土器学習 175

縄文土器学習1巡目の最後のプロジェクトとして、土器形式別遺跡分布図作成を行います。この記事では土器形式別遺跡分布図のこれまでの作成状況把握と分布図からどのように情報を汲みだすか、考えてみました。

1 土器形式別遺跡分布図の作成状況

土器形式別遺跡分布図の作成状況

土器形式別遺跡分布図の作成状況
データベースに記載がある土器形式名称は全部で43でありそのうち21の遺跡分布図をつくっていますから、約半分についてこれからの作業で作成します。
なお土器形式が1、2、3…等で細分されているもののデータベースでの記載は、そのように細分されているものが少ないので、今回の作業ではとりあえず細分を使わないで遺跡分布図を作成します。ただし、加曽利E式と加曽利B式などについては細分された情報が多ければ、細分に対応した遺跡分布図を作成することにします。

2 作成した遺跡分布図から情報を汲み取る方法
土器形式別遺跡分布図が並んでいる称名寺式→堀之内式→加曽利B式の千葉県分布図と遺跡数を並べてみました。

遺跡数と遺跡分布図(2019.07.08追記 錯誤がありこの図を正しいものと差し替えました。加曽利B式遺跡数グラフが間違っていました。分布図は正しいですがドットの大きさが図によって異なります。)
・遺跡数から堀之内式期をピークとする社会の消長(=集落数増減≒人口増減)をデータとして読み取ることができます。
・大局的にみて分布高密度域が称名寺式期は市川付近にあり、堀之内式期は市川付近と千葉付近に加曽利B式期は市川付近(副)と千葉付近(主)にあります。分布高密度域が市川付近から千葉付近に東京湾岸を東南方向に移動している様子を観察できます。
・以上の観察から遺跡分布図を土器形式時期別に並べると社会消長に関する貴重な空間情報を入手できることを確認できます。
・同時に千葉県全体の地図ではドットの大きさより遺跡間距離の方が短く、遺跡密集地の様子を正確に観察できないことが判ります。堀之内式遺跡の数は称名寺式の3倍ありますが、分布図ではそのような大きな数の違いを十分に観察できません。遺跡ドットが幾重にも重なってしまっているためです。
・千葉県全体図でその概要が判りますが、詳細情報は地図を拡大して観察することが必須であると考えます。
・地図を拡大して縄文遺跡を観察する場合には地域区分を新たに検討する必要があります。行政区域別検討は完全に無意味です。
・縄文時代の社会消長を詳しく検討するための(=地図を拡大して検討するための)合理的地域区分を最初に(仮説的にでも)獲得して、それに従って土器形式別遺跡分布図の比較を行うことが必要です。
・時期の異なる遺跡分布図の比較分析方法はヒートマップの重ね合わせなどの方法を適宜工夫する必要があります。

3 当面の活動
当面(直近に)千葉県全体の土器形式別遺跡分布図を43形式全部について作成し、遺跡数統計とともに時系列的にならべて観察し、大局的な考察を行います。
より詳細な(地図を拡大した)検討のための地域区分について予察的仮説的に検討します。

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参考 縄文草創期→早期→前期→中期→後期→晩期遺跡分布アニメ(2秒間隔無限ループ)


2019年7月4日木曜日

堀之内2式深鉢形土器(10)の輪切り実験

縄文土器学習 174

観察記録3Dモデルを使って、堀之内2式深鉢形土器(10)の輪切り実験を行いました。

1 堀之内2式深鉢形土器(10)の輪切り実験の趣旨
堀之内2式深鉢形土器(10)の観察記録3Dモデルは2019.07.03記事「堀之内式土器 観察記録3Dモデル その1」に掲載しましたが、この土器を真上からみると角丸四角形にみえます。同じことは堀之内1式深鉢形土器(複製)(1)にも言えます。
真上から見ると角丸四角形に見えるのは4単位の波状把手部分の存在によるものと推察することができます。
この記事ではその推察を実際に土器を輪切りにして確かめてみました。
波状把手直下で土器を輪切りにすると本当に円が現れるか、あるいは4単位波状把手に影響を受けた別の微妙な形状の図形が現れるのか、造形物観察の視覚感覚ではなく、データとして確認してみました。

土器10の姿

2 土器10のトップビューの形状

土器10のトップビューオルソ投影
土器10のトップビューをオルソ投影すると確かに角丸四角形の形状をしています。

3 土器10の輪切り
土器10を4単位波状把手の直下で輪切りしました。

土器10の輪切り フロントビューオルソ投影

輪切りにした土器10の様子

4 輪切りした土器10のトップビュー

輪切りした土器10のトップビューオルソ投影
輪切りしてできる図形は写真撮影できた本体遺存部分ではほとんど正円に近くなりました。
土器全体は横断面が正円で作られ、その上部に4単位波状部分が乗っていることをデータとして確認できました。

5 感想
観察記録3Dモデルを使えば土器断面形状を任意の切断面で作ることができますから、今後土器学習に有効活用したいと思います。また口唇部付近は内外面あわせた断面作成が可能ですからその部分の器厚変化もみることが出来そうです。
土器を手に取って観察することができない一般市民にとって、観察記録3Dモデルはかなり有力な学習ツールであることを実感できました。

2019年7月3日水曜日

堀之内式土器 観察記録3Dモデル その3

縄文土器学習 173

2019.07.03記事「堀之内式土器 観察記録3Dモデル その2」のつづきです。

市立市川考古博物館の堀之内式土器展示コーナー以外の場所に異形台付土器が舟形土器、注口土器やその他多くの品と一緒に展示されていました。

展示の状況全体を観察記録3Dモデルにしましたので掲載します。

異形台付土器等の展示 市立市川考古博物館 観察記録3Dモデル
撮影場所:市立市川考古博物館
撮影月日:2019.05.24
ガラス面越し撮影。

異形台付土器等の展示 市立市川考古博物館
撮影場所:市立市川考古博物館

堀之内式土器 観察記録3Dモデル その2

縄文土器学習 172

2019.07.03記事「堀之内式土器 観察記録3Dモデル その1」のつづきです。

1 3点の注口土器
市立市川考古博物館の堀之内式土器展示コーナー11点の中に3点の注口土器が含まれています。
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡

堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡

堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚

4と8の注口土器は両手で注ぐことを前提とした2つの把手を用意していて、丁寧に容器内液体を注ぐ道具であったことがわかります。
5も大きな把手は飾りであり、その基部の2つの孔に指を入れて両手で液体を注いだのではないかと想像します。大きな把手にはそこを持てるだけの強度を最初から期待していないと考えます。5の2つの渦は蛇のしっぽをその両側に蛇の頭があるように見えます。

2 堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
深鉢土器の文様とも似る注口土器(8)の観察記録3Dモデルを掲載します。

堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:市立市川考古博物館
撮影月日:2019.05.24

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市立市川考古博物館における堀之内式土器の展示
堀之内式土器展示コーナーには11点の土器が展示されています。
これらの土器は次のリストリンク先で観察記録3Dモデルを掲載しています。

堀之内1式深鉢形土器(複製)(1) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(2) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(3) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(6) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(7) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(9) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式広口深鉢形土器(11) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル

堀之内式土器 観察記録3Dモデル その1

縄文土器学習 171

堀之内式土器については既に次の記事で学習しています。
2019.05.15記事「堀之内式土器 加曽利貝塚」
2019.05.20記事「堀之内1式土器 加曽利貝塚」
これらの観察に加え、市立市川考古博物館における「本場」(?)堀之内式土器コレクションを観察して全て観察記録3Dモデルにしました。これらの資料により堀之内式土器の器形や文様、土器種別の様子などをより強く脳裏に刻むことができ、今後の縄文学習の基礎知識として役立つものと直観しています。
堀之内式期は大膳野南貝塚集落における住居が急激に増えた時期(逆に母村の六通貝塚では住居が見つからない時期)でもあり、地域社会が広域的に急展開・急成長した時期ですから、その時期の土器の様子を知ることは大切であると考えています。

1 市立市川考古博物館における堀之内式土器の展示

市立市川考古博物館における堀之内式土器の展示
堀之内式土器展示コーナーには11点の土器が展示されています。
これらの土器は次のリストリンク先で観察記録3Dモデルを掲載しています。

堀之内1式深鉢形土器(複製)(1) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(2) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(3) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(6) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(7) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(9) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式広口深鉢形土器(11) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル

2 堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
この記事では深鉢土器のうち文様が見やすい10の観察記録3Dモデルを掲載します。

堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:市立市川考古博物館
撮影月日:2019.05.24
ガラス面越し撮影。
堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚
撮影場所:市立市川考古博物館

2019年7月1日月曜日

縄文早期条痕文系土器形式「鵜カ島台式」の表記

縄文土器学習 170

縄文早期条痕文系土器形式の一つである「鵜カ島台式」の表記におけるカタカナの「カ」の部分(発音は「ga」)をどのようにしたらよいか困っていますのでその解決のために判らない点をメモしておきます。

1 「鵜カ島台式」表記の状況
1-1 「千葉県の歴史」における「鵜カ島台式」表記
私の学習基本図書である「千葉県の歴史 資料編考古1」「同 資料編考古4」では「鵜カ島台式」(ルビはウガシマダイシキ」に統一されています。自分はそれを使ってきました。(ただし、「カ」が小さい「ヵ」に見えたのでそれを使ってきました。)

「千葉県の歴史」における「鵜カ島台式」表記

1-2 遺跡データベースにおける「鵜カ島台式」表記
千葉県遺跡データベース(WEBサイト「ふさナビ」から以前ダウンロードした千葉県教育委員会の行政資料)では「鵜カ島台式」が52レコード(遺跡)がヒットし、次のような表記になっています。

千葉県遺跡データベースにおける「鵜カ島台式」表記
全角と半角の違いを無視すると「ヶ」「ケ」「ガ」になります。

1-3 日本土器事典における「鵜カ島台式」表記
「鵜ヶ島台式」で記述や索引が統一されています。

日本土器事典における「鵜カ島台式」表記

1-4 小林達雄編「総覧縄文土器」における「鵜カ島台式」表記
条痕文土器における記述は「鵜ガ島台式」で統一されていますが、他の項目で引用的に語られる部分はほとんど全て「鵜ヶ島台式」です。さらに索引【土器群】では「鵜ヶ島台式」であり、「鵜ガ島台式」は出てきません。

小林達雄編「総覧縄文土器」における「鵜カ島台式」表記の不統一

2 「鵜カ島台式」の用語不統一の理由
自分は考古関係社会の状況を100%知らないので「鵜カ島台式」の用語不統一の理由が皆目見当がつきません。
学習基本図書「千葉県の歴史」で「鵜カ島台式」と統一されているのでそれに従っているのですが、同じ千葉県の行政資料では「鵜カ島台式」は全く使われていません。
さらに納得できないことは権威ある専門書として入手した小林達雄編「総覧縄文土器」で本文専門記述は「鵜ガ島台式」なのに、そのページを指し示す索引が「鵜ヶ島台式」と異なる不思議です。
・「鵜カ島台式」が一般化した学術的専門用語であることは間違いないと思いますが、その表記がこのようにバラバラでも考古社会は不便を感じないのでしょうか?
・「千葉県の歴史」において「鵜カ島台式」に統一されていることは、同じ県の行政資料でそれが全く使われていないことを踏まえると、「千葉県の歴史」執筆編集において強い規制力が存在したことに間違いありません。「鵜カ島台式」をどのような表記するか、その独自性を発揮することが専門性とか学術性とかの権威の象徴なのでしょうか?
・小林達雄編「総覧縄文土器」で本文と索引及び引用的記述で表記が異なるのは専門性とか学術性の権威の激突(つまり専門的意地のはりあい)なのでしょうか?
・それとも「鵜カ島台式」、「鵜ガ島台式」、「鵜ヶ島台式」などの表記の違いに対応して対象となる土器が異なる、土器区分や細分の考え方が異なるといった意味のある違いなのでしようか?
・土器形式に関して学術用語統一委員会みたいな交通整理的機能を果たす機関はないのでしょうか?

3 データベースをどのように作ったらよいか
土器学習を含めて縄文時代学習では学習ツールとして私家版遺跡データベースを充実させています。File Makerというソフトを使っていますが、千葉県だけで2万ある遺跡の検索を繰り返して行っています。その際「鵜カ島台式」「鵜ガ島台式」「鵜ヶ島台式」・・・があると検索効率が著しく落ちます。効率の問題だけでなく、そこにある重要な情報を見落とす可能性も強まります。
意味のある用語の違い(加曽利EⅡ式と加曽利E2式など)ならそれを受容すべきだと思いますが、意味が同じで表記だけ異なる土器形式用語は、データベース内部では是非とも統一したいです。
自分が作る遺跡データベースでは「鵜カ島台式」の表記をどのようにすべきか、専門家のご指導を是非とも受けたいと希望しています。
この記事を読んでいただいた方でこの問題に興味がある方がいらっしゃれば、是非ともアドバイスいただきたくお願い申し上げます。

参考 八千代市立郷土博物館における鵜カ島台式土器の展示(千葉県教育委員会所蔵)
八千代市間見穴遺跡出土

参考 鵜カ島台式土器出土遺跡

浮島式土器 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 169

この記事は2019.05.10記事「浮島式土器 神門遺跡ほか」の追補記事です。
千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室に展示されている縄文早期、前期土器の観察記録3Dモデルが出来ましたので、順次掲載し検討を加えています。この記事で千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室展示土器(早期・前期土器)全ての3Dモデルを紹介し終わりまし。

1 観察記録3Dモデル
浮島式土器は次のア~エの4点展示されています。

浮島式土器展示の様子

ア、ウ、エは観察記録3Dモデルのリンクページ(「縄文土器3Dモデル素材集」)をしめします。
浮島式土器(ア) 観察記録3Dモデル
浮島式土器(ウ) 観察記録3Dモデル
浮島式土器(エ) 観察記録3Dモデル

浮島式土器(イ) 毛内遺跡 観察記録3Dモデル 
千葉県教育委員会所蔵 
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室 
撮影月日:2019.05.27

浮島式土器(イ) 毛内遺跡 
千葉県教育委員会所蔵 

2 口縁部の注口状二次削損
浮島式土器(イ)には注口状の二次的削損部が2箇所あります。

浮島式土器(イ)の注口状二次的削損部(2箇所)
逆台形上に削り取られています。
土器に載せる棒を固定するような機能を想像します。棒から紐でモノをたらし、土器内溶液に浸けたのかもしれません。