2019年7月4日木曜日

堀之内2式深鉢形土器(10)の輪切り実験

縄文土器学習 174

観察記録3Dモデルを使って、堀之内2式深鉢形土器(10)の輪切り実験を行いました。

1 堀之内2式深鉢形土器(10)の輪切り実験の趣旨
堀之内2式深鉢形土器(10)の観察記録3Dモデルは2019.07.03記事「堀之内式土器 観察記録3Dモデル その1」に掲載しましたが、この土器を真上からみると角丸四角形にみえます。同じことは堀之内1式深鉢形土器(複製)(1)にも言えます。
真上から見ると角丸四角形に見えるのは4単位の波状把手部分の存在によるものと推察することができます。
この記事ではその推察を実際に土器を輪切りにして確かめてみました。
波状把手直下で土器を輪切りにすると本当に円が現れるか、あるいは4単位波状把手に影響を受けた別の微妙な形状の図形が現れるのか、造形物観察の視覚感覚ではなく、データとして確認してみました。

土器10の姿

2 土器10のトップビューの形状

土器10のトップビューオルソ投影
土器10のトップビューをオルソ投影すると確かに角丸四角形の形状をしています。

3 土器10の輪切り
土器10を4単位波状把手の直下で輪切りしました。

土器10の輪切り フロントビューオルソ投影

輪切りにした土器10の様子

4 輪切りした土器10のトップビュー

輪切りした土器10のトップビューオルソ投影
輪切りしてできる図形は写真撮影できた本体遺存部分ではほとんど正円に近くなりました。
土器全体は横断面が正円で作られ、その上部に4単位波状部分が乗っていることをデータとして確認できました。

5 感想
観察記録3Dモデルを使えば土器断面形状を任意の切断面で作ることができますから、今後土器学習に有効活用したいと思います。また口唇部付近は内外面あわせた断面作成が可能ですからその部分の器厚変化もみることが出来そうです。
土器を手に取って観察することができない一般市民にとって、観察記録3Dモデルはかなり有力な学習ツールであることを実感できました。

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