2025年4月6日日曜日

斜面貝層細区分と土器3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

 Slope shell layer subdivision and pottery 3D distribution model (density color version)


I observed and analyzed the slope shell layer subdivision and pottery distribution (density color version) in the study space (3D space) of the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound using a 3D model. The pottery concentration area is concentrated near the lower tip of the white shell layer. I inferred that the pottery was dumped in that location (near the water's edge at the time).


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における斜面貝層細区分と土器分布(密集度色表現バージョン)の様子を3Dモデルで観察分析しました。土器密集域は白色貝層の下方先端付近に集中しています。その場所(当時の水辺付近)を選んで土器が投棄されたと推察しました。

1 斜面貝層と土器3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

斜面貝層と土器3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界及び斜面貝層細区分境界:青平面メッシュ

土器:CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

土器密集度:

赤 当該土器片から20㎝範囲内空間に3個以上の土器片が出土しているもの

ピンク 当該土器片から20㎝範囲内空間に2個以上の土器片が出土しているもの

薄ピンク 当該土器片から20㎝範囲内空間に1個以上の土器片が出土しているもの

白 当該土器片から20㎝範囲内空間に土器片出土がないもの

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 斜面貝層細区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察・検討


斜面貝層細区分別土器・土製品件数

斜面貝層細区分別土器・土製品件数をみると、同じ白色貝層でもS2層の土器・土製品件数がS1層、S3層より多く、S2層の時期の土器更新が激しかったことを物語っています。S2層の時期はS1層、S3層の時期より貝消費・貝食品生産経済が活性化していたと考えます。この考えは、S2層で骨・歯件数(=獣肉消費量)が一番多いことや骨角歯牙製品件数(=社会の豊かさ指標)が一番多いことと整合的です。


土器3D分布


S2層先端付近の土器

土器の3D分布をみると、密集域が白色貝層の下方先端あるいは先端付近に存在するという際立った特徴が観察できます。その様子は千葉県立中央博物館展示剥ぎ取り断面のS1層下方先端、S2層下方先端で実物観察できます。

土器密集域が白色貝層下方先端付近に形成されている様子は土器投棄原理を考える上でとても示唆的であると考えます。白色貝層の下方先端付近はその形成当時はいずれも水辺的環境であったと考えられます。従って、縄文人が水辺での土器投棄を好んでいた可能性が3Dモデル観察から浮かび上がります。


貝殻遺物の挙動想定

なお斜面貝層では、土器や貝殻は投棄された当初踏圧などの影響で下方に移動していると考えられます。しかし、その移動量は不明です。本ブログでは遺物3D分布の諸状況から、平均的下方移動量はさほど大きなものではないとイメージし、分析では考慮していません。



2025年4月5日土曜日

斜面貝層細区分と遺物3D分布モデル

 Slope shell layer subdivision and artifact 3D distribution model


I observed and analyzed the slope shell layer subdivision and artifact distribution in the study space (3D space) of the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound using a 3D model. More artifacts were excavated from the white shell layer than from the brown shell layer. I hypothesized that during the white shell layer period, the yield of clams and other shellfish was high, which stimulated the economy, and that other artifacts also increased in tandem.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における斜面貝層細区分と遺物分布の様子を3Dモデルで観察分析しました。白色貝層からの遺物出土が褐色貝層より多くなっています。白色貝層の時期にはハマグリ等貝収量が多く経済が活性化し、それに連動して他の遺物も増えたと仮説しました。

1 斜面貝層細区分と遺物3D分布モデル

斜面貝層細区分と遺物3D分布モデル

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界及び斜面貝層細区分境界:青平面メッシュ

遺物:赤CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 斜面貝層細区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデル動画


3Dモデル動画 (ワイヤーフレーム版)


3Dモデル画像(ワイヤーフレーム版)

2 検討


表 斜面貝層細区分別遺物件数


グラフ 斜面貝層細区分別遺物件数


グラフ 斜面貝層細区分別体積 ㎥


グラフ 斜面貝層細区分別遺物密度 件/㎥


白色貝層の遺物件数は多く、褐色貝層の遺物件数は少ないことが特徴となっています。遺物密度も全体では白色貝層が大きく、褐色貝層は小さくなっています。

また、白色貝層の方が褐色貝層より単位体積当たり貝殻量は多いから、単位貝殻量あたり遺物密度を想定すると、白色貝層の方が褐色貝層より遺物密度がさらに大きくなります。

このデータから、次の作業仮説を検討しました。。

●作業仮説

白色貝層の時期は豊漁でハマグリ貝収量が多く、集落内貝消費が増大して貝殻投棄が増えます。従って貝層が白色になります。交易用貝食品生産も増え、人口も増加傾向になります。貝調理増加や交易用食品生産増加や人口増加に伴い道具類(土器、貝刃など)の更新による投棄が増えます。また交易が活性化するので獣肉の消費も増え、骨・歯投棄量も増えます。

一方、褐色貝層の時期は白色貝層の時期と逆で、ハ

マグリ貝収量が少なく、相対的にイボキサゴ収量の割合が増えるので貝層は褐色になります。貝消費や交易用貝食品生産が少なくなるので、関連する道具類の更新も進まないため、その投棄量は少なくなります。獣肉消費量も減るため、骨・歯投棄量が減少します。

なお、白色貝層S2 とS3 に挟まれる褐色貝層R3 の時期は二次堆積貝層の堆積現象が急激に進んでいます。その事象から、ガリー谷頭部での急激な浸食作用が考えられます。従って、気候変動(降雨増大)が「貝収量減でかつ遺物投棄量減」現象を招いている可能性も想定できます。


2025年4月4日金曜日

2025年3月ブログ活動のふりかえり

 I looked back on the activities of the blog "Walking the Hanami River Basin" in March 2025.


Following on from January and February, I pushed myself to focus on the investigation of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, despite my old age. In terms of technology, I am now able to analyze the correspondence between the 3D shell layer model and the 3D artifact distribution model in the 3D investigation space, and my knowledge is increasing.


ブログ「花見川流域を歩く」の2025年3月活動をふりかえりました。

1月、2月に引き続き、老骨に鞭打って、有吉北貝塚北斜面貝層検討に集中しました。技術面で、3D検討空間において貝層3Dモデルと遺物分布3Dモデルの対応関係分析が出来るようになり、知見が増えています。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2025年3月の記事数は25です。

・北斜面貝層における貝層3Dモデルと遺物分布3Dモデルの対応関係分析記事を書きました。

・千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」で観覧したアリソガイ、アワビ、イルカ下顎製腰飾などの観察記録3Dモデル記事を書きました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事2編を書きました。

3 2025年3月活動の特徴

テストグリッドでの試行を踏まえ、10断面と11断面に挟まれた空間を検討空間に設定しました。

貝層断面図(精細な発掘現場で手書きで書かれた断面図)における貝層分層と大格闘しました。斜面貝層(オリジナル貝層)については、結局、貝層断面図から貝層発達大局観を得ることが出来ませんでした。挫折といっていいと思います。

仕方がないので、Bプランとして用意していた現場写真から斜面貝層発達大局観を得ることにして検討し、成功しました。斜面貝層を褐色貝層3層と白色貝層3層が交互に重なる分層として設定しました。この分層設定はその後の分析に役立つ信頼性のあるものとなりました。

斜面貝層発達大局観を得た後の分析活動はすべて順調に経過し、3D空間における貝層と遺物の関係を明らかにすることができました。

作業に熱中するために、生活も変えました。テレビニュース、ネットニュース、新聞から自分を遮断しました。それに接するとそちらに興味や思考エネルギーを取られてしまうためです。またブログ記事も3月23日をもって更新を止めました。ブログ記事作成時間がバカにならないので、記事更新をやめ、時間を北斜面貝層検討に全て投入しました。ブロガーを自認する自分としては最後の非常手段といってもいいかと思います。

4 2025年4月活動の展望

北斜面貝層検討をさらに深める活動を行うとともに、2年前から継続している北斜面貝層遺物データベース作成作業の残作業(遺物平面図からXY座標を読みとる作業)に取組むことにします。

ブログ記事更新も旧に復したいと思います。


参考

ブログ「花見川流域を歩く」2025年3月記事 〇は閲覧の多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2025年3月記事


2025年3月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2025年3月 YouTubeに投稿した動画


2025年3月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像