2020年5月19日火曜日

環状石斧穿孔用礫石錐の存在を知る

縄文石器学習12

2020.05.19記事「縄文草創期石錐(103図-13)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル」の学習をする中で環状石斧穿孔用礫石錐という道具が存在していることを知りましたのでメモします。

環状石斧穿孔用礫石錐(弥生時代)
鈴木道之助著「図録石器入門事典縄文」(1991、柏書房)から引用加筆
この図書には次のような説明があります。
「弥生時代中期の所産であるが、環状石斧の中央部の穿孔のために使川された礫石錐がある。大阪府池上遺跡で検出されたもので細長い捧状の礫を錐としたもので、薄い円盤に大きな穴を穿孔するのに適していたのであろう。縄文時代の例は未検出であるが、磨石などと混同しやすい石錐であり、今後、注意する必要がある。」

次のような弥生時代環状石器、縄文時代環状石斧・環石も敲打で凹みをつけられた後、礫石錐で穿孔されたものと考えます。

弥生時代環状石器展パンフレット表紙

環状石斧
上野原遺跡発掘調査報告書から引用

環石
上野原遺跡発掘調査報告書から引用

縄文時代の環状石斧・環石穿孔用礫石錐がまだ見つかっていないのかどうか、調べたいと思います。
同時に、縄文時代環状石斧・環石が掲載されている発掘調査報告書を読む(見る)場合、その石器図録の中に環状石斧・環石の穿孔に使われたと考えられるような礫石錐が含まれていないかどうか気をつけて読む(見る)ことにします。発掘調査報告書を読む(見る)楽しみが一つ増えました。

なお、環状石斧・環石の機能は罪人を制裁あるいは処刑する刑罰具であると想像しています。
2020.05.16記事「環状石斧について アドバイスで入門知識が増大」参照

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