2020年5月10日日曜日

縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文石器学習 5

千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、有舌尖頭器と共伴出土した矢柄研磨器の観察記録3Dモデルを作成し詳しく観察しました。

1 縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 42 images


発掘調査報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書より引用

撮影の様子

動画

2 観察

観察図1
メインの溝は若干カーブしています。カーブした篠竹を温めて逆カーブでしごいてまっすぐにするとか、節や篠の残葉を削ぎ取るのに利用したと推測します。
各所にアリジゴクのような穴があります。弓の一方をここに添えて固定し弦を張るのに利用したのではないかと推測します。

観察図2
篠竹をしごいたと思われる溝が各所にあります。また篠竹の断面を擦って断面を平滑にしたと推測できる円形凸形が大小3つ並んでいます。

3 感想
矢柄研磨器は縄文草創期のこの時期にしか出土せず、弓矢が発達すると姿を消したといわれています。もしそうだとすると次のようなことが考えられると想像します。
1 矢羽根が発明されるまで投げやりと弓矢の矢柄調整に矢柄研磨器が使われた。
2 矢柄研磨器を利用しない、より合理的な矢柄調整方法が発明された。
3 弓威力向上の開発が進み、微妙な矢柄調整は不必要となった。

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この矢柄研磨器はすでに2019.06.17記事「参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」で観察していますが、この度3Dモデルを調整し直すとともに、より詳細な観察を行いました。

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