2020年5月31日日曜日

一鍬田甚兵衛山南遺跡付近の地形3Dモデル

縄文社会消長分析学習 23

千葉県多古町の一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器及び有舌尖頭器等石器学習をしてきましたが、その地形をあらためて3Dモデルで観察してみました。

1 広域地形 3Dモデル

一鍬田甚兵衛山南遺跡付近 広域地形 地理院地図3Dモデル
地理院地図 数値地図25000(土地条件)+写真
垂直倍率:×9.9
赤丸:一鍬田甚兵衛山南遺跡

・一鍬田甚兵衛山南遺跡は太平洋水系の栗山川および古鬼怒湾水系の根木名川・木戸川の源流部に位置しています。つまり太平洋と古鬼怒湾の分水界台地に位置しています。
・隆起線文土器や有舌尖頭器が使われていた頃は現在よりも海水面がかなり低く、海岸線の位置が現在の台地縁よりもかなり沖合側に位置していて、台地面積が現在よりも大幅に広かった時期です。
・海岸線付近の土地の利用と台地における狩猟の双方を回帰するような活動における、狩猟生活の痕跡がこの遺跡から発見されたと想像します。

2 遺跡付近地形 3Dモデル
一鍬田甚兵衛山南遺跡付近地形 地理院地図3Dモデル
地理院地図 数値地図25000(土地条件)+写真
垂直倍率:×9.9
赤丸:一鍬田甚兵衛山南遺跡

・太平洋水系栗山川源流部の台地に遺跡が位置します。
・遺跡の立地は栗山川源流の水(泉)を飲料水として使っていたことを示していると考えます。
・住居は発見されていませんが、ある程度の長期間逗留をしていたに違いありません。
・旧石器時代遺跡集中域とは少しはなれた場所に一鍬田甚兵衛山南遺跡が位置していることから、この遺跡場所から狩場に出動するような定着的生活がしのばれます。
・現在は成田空港敷地内で、盛土された場所に位置しています。

参考 一鍬田甚兵衛山南遺跡付近の地形
旧版1/25000地形図「五辻」大正10年測図(大正14年発行)による
空色は谷津筋線、青色は凹地(閉じた等高線)

参考  隆起線文土器出土分布図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記
遺跡北端部に隆起線文土器出土域が限られ、D1-26グリッド(5m×5m)が最も集中出土している場所です。

参考 一鍬田甚兵衛山南遺跡の位置 赤色で表示 
成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21(千葉県文化財センター調査報告第517集)から引用・加筆
「栗山川の支谷最奥部に面する台地北端部に立地し、標高は約41mである。根木名川・栗山川・木戸川などの水系の分水嶺となる地域である。」

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