2019年2月13日水曜日

加曽利EⅠ式前段階土器の観察と感想

縄文土器学習 22 加曽利貝塚博物館企画展展示土器の観察 2

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事はNo.2土器です。

1 加曽利EⅠ式前段階土器 No.2

加曽利EⅠ式前段階土器 No.2
「深鉢 後半からの新展示資料 加曽利EⅠ式前段階 荒屋敷貝塚」

2 観察と感想
2-1 器形と模様
・頸部がラッパのように広がっています。
・頸部と胴部の境に角度がついていて他の土器のような滑らかさはありません。
・頸部に沈線があるのかどうか、写真を拡大しても詳しく観察できませんが、無いように感じられます。
・胴部縦方向沈線様模様が縄文の凹凸と比べて極めて不明瞭です。縦方向沈線といってもS字状のように観察できますが・・・。別角度の写真ではより不鮮明ですから、沈線ではなくキズかもしれません。炉に固い固定具があったので生まれたキズ?

沈線様模様の様子

・右に見える把手が現代金属製工業製品のような感じがして縄文土器の一部のようにみえません。一部欠損してそのようにたまたま見えるだけだと考えておきます。左に把手の一部と考えられるような突起が残存しています。

把手の様子

・口縁部に刻みがあります。No.1土器と類似します。
口縁部刻みは1列のところと2列のところが観察できます。

口縁部刻みの様子

・縄文模様方向が頸部と胴部で同じです。
・頸部と胴部を区画する3本の横方向沈線が深く明瞭です。
頸部と胴部模様が一致する様子

・疑問
上記写真で黒い色の部分が炭素(スス)であるのか否か、炭素であればそれがいつついたのか(土器焼成時か利用時か)、現物をみてあるいは写真をみて正確に判定できるものであるのかどうか、知りたいと考えています。

2-2 表面摩耗
・表面摩耗が胴下部に向かうほど顕著であり、その様子が連続的に変化します。同時に下部に向かうほど水平方向かすれ線(きず)が明瞭になります。均一につけられた縄文が土器使用により下部ほど摩耗し、摩耗はぐるぐる回されて生じたと推定できます。No.1土器で考察したように、炉の灰のなかにかなり深く埋められた状態で加熱されて使われたことがしのばれます。

胴下部表面摩耗の様子

2-3 感想
講演会等で既に説明があったのかもしれませんが、この土器と加曽利EⅠ式土器が意匠上どのような関係にあるのか(何に着目してこの土器を加曽利EⅠ式土器との関係で学習すべきなのか)自分は理解できていません。理解できた段階で情報を追記します。

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企画展展示の様子

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追記 2019.02.18
No.2土器の情報を加曽利貝塚博物館から提供していただきましたので次の記事で追補しました。
2019.02.08記事「加曽利EⅠ式前段階土器 追補

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