加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事ではNo.13土器、No.14土器を観察します。
1 加曽利EⅡ式渦巻文楕円形区画文土器 No.13
加曽利EⅡ式渦巻文楕円形区画文土器 No.13
荒屋敷貝塚出土
加曽利EⅡ式渦巻文楕円形区画文土器 No.13
荒屋敷貝塚出土
・口縁部に隆帯と沈部によりつくられた渦巻文と楕円形区画文が交互に配置され、胴部には2本の沈線に挟まれた磨消文が多数本垂下しています。
・口縁部縄文模様とづ部縄文模様の方向が一致していてこの時期としては少数派になっています。
・ショーケースの端に位置するため観察できる範囲が極限されています。
2 加曽利EⅡ式渦巻文楕円形区画文土器 No.14
加曽利EⅡ式渦巻文楕円形区画文土器 No.14
有吉北貝塚出土
No.14土器は有吉北貝塚北貝層から出土しています。
「千葉東南部ニュータウン19 -千葉市有吉北貝塚1(旧石器・縄文時代)-第1分冊(本文)」(平成10年3月、住宅・都市整備公団・財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書等として適宜略称)におけるこの土器(218)に関連する記述を抜き書きすると次のようになります。
「第10群(218~237)加曽利EⅡ式を3細分したうちの第2段階にあたる。数量的にはかなりまとまってくるが、次群と比較すれば未だ北斜面貝層の主体をなすとはいいがたい。完形個体や復元実測個体が多いため、破片資料は省略した。キャリパー形土器の胴部文様帯に磨消懸垂文が成立し、口縁部文様帯内の渦巻文が整然としている点が特徴である。もうひとつの特徴として連弧文系土器の盛行があげられるが、この類型については第11群との明確な分別が困難であり、本群の次に1項を設けて提示することとする。
218~228は口縁部から底部ないし胴下部までが遺存する資料である。平縁を基本とし、口縁部文様帯はいずれも4~6単位の正円に近い整った渦巻文と楕円形区画文で構成されており、胴部には磨消懸垂文が垂下している。この段階の磨消懸垂文は縄文施文部と比較して幅が狭く、沈線の施文も概して丁寧である。地文として施される縄文はRL単節縄文とLRL複節縄文、すなわち0段がrの原体を使用したものが多く、口縁部と胴部の文様帯では施文方向が転換される例が圧倒的である。」
注 第10群・・・胴部磨消懸垂文成立以後の加曽利EⅡ式で、連弧文土器が盛行する段階
出土土器写真
発掘調査報告書第3分冊から引用
・口縁部楕円形区画文の縄文方向をよく見ると2つの区画文で方向が異なり、めずらしい例となっています。
・ショーケース端に位置していて観察域極限やガラス面反射により土器観察条件が劣悪となっています。
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企画展における土器展示の様子
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