2019年5月19日日曜日

日本先史土器図譜

縄文土器学習 128

土器学習をより趣味らしく楽しむために古書を購入して眺めてみました。
購入した古書は山内清男編「日本先史土器図譜(第一部関東地方)」(1967 再版・合冊刊行 先史考古学会)です。3500円という値段のものがありましたので、こづかいの範囲ですから即購入しました。値段から推察して専門書古書店ルートではなく、リサイクル業界ルートから流れて来た古書のようです。
届いた本は箱入り2冊(図版、解説)で書き込み等の不良は一切なく年代感だけがある自分レベルでは良品でした。

山内清男編「日本先史土器図譜(第一部関東地方)」(1967 再版・合冊刊行 先史考古学会)

1939年から1941年の間に山内清男によって刊行された縄文土器分冊図譜を合本して再版したものです。つまり全ての縄文土器が戦前に発掘されたものであるということです。

パラパラめくってみると土器形式が現在のものと同じですから判りやすい図譜です。しかし博物館や図書で見かけた典型土器と同じ個体のものはないようだと感じました。その感じは解説に「戦前に発掘された膨大な量の縄文土器はそのほとんどが戦災や戦争混乱で焼失・消失した、資料や記録も失われた」旨が書いてあり、納得できました。
この図譜に掲載されている縄文土器の原物はほとんど存在しないようです。

この図書から最新情報を得ることはできませんが、ページをパラパラめくると、縄文土器学習の興味を深める心地良い刺激を受けることができます。過去の専門家はみな知っていたけれども今の専門家にはあまり知られていない情報を得ることはできます。

勝坂式顔面付釣手土器 東京都杉並区で発見か?(重要美術品)
山内清男編「日本先史土器図譜(第一部関東地方)」から引用

勝坂式には稀に釣手土器が伴うことがあり、顔面を付した稀有の例であると詳しく解説されています。
この土器に関する自分なりの感想を熟成させるプロセスが楽しみです。

堀之内式土器
山内清男編「日本先史土器図譜(第一部関東地方)」から引用

堀之内貝塚出土 この土器は山内清男が修理接合したもので、製作時に上下接合した跡が見られることを詳しく解説しています。また堀之内旧型式土器には上下接合が往々にして認められることが述べられています。
加曽利貝塚博物館展示の類似形状堀之内式土器に製作時上下接合があるかどうか気になります。
チョット見では同じように上下を画する周回状割れ目があり、心臓がドキドキしてきます。その視点で詳しく観察してみることが今後の楽しみです。

加曽利貝塚博物館展示堀之内式土器




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