2019年5月9日木曜日

関山式土器 神門遺跡及び取掛西貝塚

縄文土器学習 114

縄文土器を形式別に観察しています。
この記事では2箇所の展示施設で観覧した縄文前期関山式土器2点を観察します。

1 関山式土器(千葉市神門遺跡出土)の観察

関山式土器 千葉市神門遺跡 千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室展示

2 関山式土器(船橋市取掛西貝塚出土)の観察

関山式土器 船橋市取掛西貝塚出土 船橋市飛ノ台史跡公園博物館企画展(2019.02)展示 ガラス越し撮影

関山式土器 船橋市取掛西貝塚出土 船橋市飛ノ台史跡公園博物館企画展(2019.02)展示 ガラス越し撮影

関山式土器 船橋市取掛西貝塚出土 パンフレット「ふなばしの遺跡」から引用

3 関山式土器の印象
繊維土器であり黒っぽく、表面がザラザラしているような印象を受けます。しかし、下に引用した「日本土器事典」の記述では緻密で磨き上げたような土器もあるとのことです。離れた場所やガラス越しの土器観察では本当のことは判りません。手にとって手触りを味わいながら子細に見るることが本来の観察です。
取掛西貝塚出土土器は片口土器であり、関山式土器の時代にのみ流行したとのことです。

4 参考 「日本土器事典」の関山式土器記述抜粋
「関山式土器は、花積下層式土器の系統を引き継ぎながら、着実に羽状縄文系土器を完成させた。口縁部文様帯には半戴竹管が多用されるようになり、バラエティーに富んだ幾何学的文様が施され、胴部には単節、異条、付加条組紐などの多種の縄文原体が羽状、菱形状に施され、ループ文なども多用されている。また、土器の内外面とも丁寧な磨き調整が行なわれ、器壁は固く密であり、現在でも光沢を保っているものも見られる。
器形
花積下層式と異なり、関山式の中には深鉢以外の器種が多く見られるようになり、縄文時代、使用目的により明確に器種を分化させた最初の土器型式である。大小の深鉢、鉢、そして本型式のみに特徴的な片口土器である。器形は胴部上半から大きく外反するものと、ほぼ直線的に外傾するものが基本であり、片口土器は砲弾形を呈するものが多い。大きく外反するものは波状口縁を呈するが口縁頂部は双頭のものや粘土紐が貼付されているもの、キザミを有するものなどがある。」
「日本土器事典」から引用

5 関山式土器の較正年代

関山式土器の較正年代
小澤政彦先生講演「東関東(千葉県域)の加曽利E式」資料(2019.02.24)では関山式土器の較正年代は6700~6445年前calBPとなっています。

6 関山式土器の分布
私家版千葉県遺跡データベースでは関山式土器は135レコードがヒットしました。その分布図を次に示します。

関山式土器出土遺跡
関山式土器分布をほぼ踏襲して黒浜式土器が分布します。
2019.05.08記事「黒浜式土器出土遺跡の分布」参照

7 参考 神門遺跡の場所と情報

ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地より
神門遺跡からはイルカの解体跡が出土しています。
2018.09.05記事「事例学習 神門遺跡」参照

取掛西貝塚の場所と情報は2019.05.03記事「東山式土器 取掛西貝塚」に掲載済。

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