2019年7月24日水曜日

市川考古博物館企画展「大地からのメッセージ」の観覧

縄文木製品学習 9

1 企画展観覧
市立市川考古博物館で2019.07.06~09.08の期間開催されている企画展「大地からのメッセージ-外かん自動車道の発掘成果-」を観覧してきました。
この企画展に先行する遺物一部展示を観覧したり、関連文化講演会を聴講したりしていますので大いに期待して観覧しました。2019.07.13記事「市立市川考古博物館主催縄文文化講演会学習メモ
会場は市川歴史博物館の2階です。想像した以上に多用な遺物が展示され、自分の期待感以上で、好奇心を大いに掻き立て、満たしてくれる展示内容でした。
パンフレット(300円)も充実しています。

企画展パンフレット(A4)

土器についてみれば縄文早期から後期までの多様な出土物が展示され、土器学習を進めている自分にとってはじっくりみたいものばかりです。しかし今回は限られた時間ですから観覧は一番興味のある木製品観覧に的を絞りました。目玉商品の日本最古丸木舟も後回しにしました。

企画展パンフレットの木製品の出ているページ

木製品について気が付いたことや興味が生れましたのでメモしておきます。

2 木製品観覧メモ

木製品観覧メモ 1
「木製品の未製品(用途不明)」という説明のある木製品現物を観覧しました。未製品(あるいは破損品)という表現が気になります。海辺(海水が出入りする場所)に未製品を3本きれいに並べて置くという状況は考えづらいです。先端が一部欠けているような状況をもって未製品(あるいは破損品)と呼んでいるみたいですが、その欠けが意図的な行為や彫刻である可能性を西根遺跡出土木製品観察体験から感じます。
観察スケッチや精細な写真撮影はあると思いますが、土器と異なり木製品はそれ以上にふみこんだ検討・考察はだれも行っていないと思います。

「木製敲打具(物を敲く)」という説明のある木製品を観覧しました。敲打具という説明は自分の意表を突くものでした。
何を敲打したのか興味が広がります。
魚や海藻を敲打して食物として消化しやすくしたり、おいしくしたのか?
貝を敲打して実を取り出しやすくしたのか?
丸木舟を敲打して音を出し、出航や寄港の合図にしたのか?
土器に動物皮を張って太鼓をつくり、その太鼓を敲打して海辺の音楽(祭祀)が行われたのか?
敲打具という説明の背景には専門家の深い知識が控えていると考えますので、その知識を是非とも摂取したいと希望します。
なお、敲打した場所と考えられる先端膨らみを老眼に鞭打って観察すると、多面形の集合として構成されています。そして、面と面が交わる稜線が新鮮に残されているようでした。
自分には先端部分でモノを打ったり、あるいは撫でまわしたりして摩耗している様子は感じられませんでした。多面形集合で全体の丸みを出した多面体が現出した直後のような印象を受けました。

これらの木製品は未製品(破損品)とか敲打具ではなく、そのものが使われた直後に埋納された本製品であり、同じ機能を有する「イナウ」であるという個人仮説の確からしさを感情レベルで深めることができました。

木製品観察メモ 2
長い棒状木製品2本が出土状況とおなじように並べて展示してありました。
そのうち短い方には縛った跡や微細な矩形穿孔を複数観察することができました。(長い方も類似の微細刻等の跡が多数あります。)これらの特徴は西根遺跡木製品と同じです。特に微細な(3~4mm×2~3mm?)矩形穿孔は鋭利な石器工具で草花、昆虫羽根、鳥羽等を刺しこんで一時的に飾った跡と空想しますが、工具は回していません。工具でモノを押し込んだ時、その先端が矩形をしています。その点が大いに疑問で残ります。錐に使う石器でこれまでに観察した実物は、グリグリ回して使うので先端が丸くなっていました。
黒曜石で錐を作ると、先端が四角錐になるものができるということでしょうか?

この企画展には何回も足を運びたいと思います。

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