2019年7月21日日曜日

茅山式土器の分布

縄文土器学習 204

縄文土器形式別出土遺跡分布図を作成しています。この記事では縄文早期後葉の茅山式土器の検討を行います。

1 千葉県 茅山式土器出土遺跡分布図

千葉県 茅山式土器出土遺跡分布図
早期後葉条痕文土器の型式では茅山式土器出土遺跡が482ありダントツの多さとなっています。縄文海進のピーク期であり、東京湾や印旛沼が急激に海になった時期であり、それに対応した(海を利用した)縄文人社会が隆盛した跡が茅山式土器出土遺跡数の多さに現れていると考えられます。

千葉県 茅山式土器出土遺跡分布ヒートマップ
遺跡集中域は鵜ヶ島台式土器までの散ばった様相から千葉市付近とその東の九十九里を見下ろす台地に集約されます。千葉県北東部には遺跡集中域は見られません。

2 茅山式土器の細分情報
茅山式土器出土遺跡482のうち67(14%)は細分情報が記載さいれています。

千葉県 茅山式土器出土遺跡 細分情報の有無
この細分情報をグラフにすると次のようになります。

千葉県 茅山式土器細分情報別出土遺跡数

細分情報別出土遺跡分布図、ヒートマップは次のようになります。

千葉県 茅山下層式土器出土遺跡分布図

千葉県 茅山下層式土器出土遺跡分布ヒートマップ

千葉県 茅山上層式土器出土遺跡分布図

千葉県 茅山上層式土器出土遺跡分布ヒートマップ

3 参考 条痕文期の貝塚、貝塚を伴わない遺跡

条痕文期の貝塚、貝塚を伴わない遺跡
「千葉県の歴史 資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」から引用
条痕文期に海況が激変し印旛沼や東京湾が海になり、それを活用した貝塚が発達します。この激変の状況は前代の沈線文期の貝塚分布図と較べると一目瞭然です。
海況の激変に対応して縄文社会も茅山式期に急発展し、食物も海産物が急増し、雑食性が急進展したと考えられます。
なお、この頃に対応して波状口縁が普及することと海況変化・食性変化と関係あるのかどうか、興味が湧きます。
日本最古の丸木舟が出土した市川市雷下遺跡からは茅山上層式土器が出土しています。

沈線文期の貝塚と遺跡分布図
「千葉県の歴史 資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」から引用
前代の沈線文期には印旛沼、東京湾岸には貝塚はなく、遺跡も少なくなっています。この時期には海面が低く、海がまだやってきていない状況です。

4 参考 千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

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