縄文土器学習 182
2019.07.01記事「縄文早期条痕文系土器形式「鵜カ島台式」の表記」の続編記事です。
縄文土器形式名称「鵜カ島台式」の表記をどのようにしたらよいかわからないので、思い切って千葉県にアドバイスをもとめたところその回答をえることができました。
御多忙中にもかかわらず当方の些細な質問に誠意ある回答をしていただき文化財課および公文書館に感謝申し上げます。
1 鵜カ島台式の表記に関するアドバイス
神奈川県の地名で使われている鵜ヶ島台式を使うのがよいのではないかというアドバイスをいただきました。「千葉県の歴史」であれだけ強固に統一して使った鵜カ島台式の表記はその大冊シリーズ図書専用の表記だったようです。
公文書館の方のお話では鵜カ島台式と書いて「カ」を「ga」と読ませる表記は国語的に存在しないとのことです。
鵜ヶ島台式の表記が世の中の縄文土器記述で一番多く使われているようなので、またそれを推奨していただいたので、今後このブログでは鵜ヶ島台式を使うことにします。
なお、鵜ヶ島台表記が地名として存在している様子はWEB検索の範囲内では確認できませんでした。(鵜ヶ島台遺跡という表現は沢山ヒットします。)
2 「千葉県の歴史」で鵜カ島台式が使われた理由
時間が経ったため図書編集時の関係者と連絡がとれなく、鵜カ島台式表記が使われた図書編集時の理由は不明であるとのことでした。
ただ、帝国大学編「日本石器時代人民遺物発見地名表」(明治31年)に鵜カ島台の地名表記があることを文化財課で調べていただきました。
帝国大学編「日本石器時代人民遺物発見地名表」(明治31年) 国会図書館デジタルコレクションのページ引用
帝国大学編「日本石器時代人民遺物発見地名表」(明治31年)に出てくる鵜カ島臺
この明治年間資料が鵜カ島台土器関連の初出名称という理由で「千葉県の歴史」で鵜カ島台式表記が使われた可能性はあります。
3 感想
帝国大学編「日本石器時代人民遺物発見地名表」(明治31年)が初出であることから(あるいはまったく別の理由から)、世の中一般で使われている鵜ヶ島台式等を退けて鵜カ島台式を採用した縄文土器担当図書編集委員は本来のあるべき縄文土器形式命名法を当てはめた可能性が濃厚です。それで各執筆者を指導したことになります。心意気は千葉県レベルではなく、全国レベルであったと考えます。全国レベルで考えるべき命名法を千葉県で独自に実践しているのです。それが良いか悪いか別にして、部外者から見ると考古世界というところでは交通整理する機能が弱いという印象を受けます。学術用語不統一でも我慢する忍耐強い学術世界であるということです。
駐車場の交通整理員がいなくては「俺が俺が」ということで駐車場が混乱して渋滞していしまいます。交通整理員がいれば交通混乱は最小限となります。そして交通整理員は社会的権力者ではありません。皆がマナーとして交通整理員の指示に従っているだけです。
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