2024年8月12日月曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 貝刃分布

 Distribution of shell blades in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of shell blades excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound was created. Shell blades are distributed evenly throughout the area, but are less abundant at the head of the gully valley. There appears to be no difference in the distribution of clam shell blades and mirror shell shell blades.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した貝刃の分布図を作成しました。貝刃は満遍なく分布しますが、ガリー谷頭では少なくなっています。ハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃の分布の差異はないようです。

1 ハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃の分布

発掘調査報告書における貝刃資料がハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃に分かれて記載されていますので、確認のために双方の分布図を作成してみました。

1-1 有吉北貝塚北斜面貝層 ハマグリ製貝刃分布

有吉北貝塚北斜面貝層 ハマグリ製貝刃分布

データ出典:発掘調査報告書

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3Dモデルの画像


参考 ハマグリ製貝刃

1-2 有吉北貝塚北斜面貝層 カガミガイ製貝刃分布

有吉北貝塚北斜面貝層 カガミガイ製貝刃分布

データ出典:発掘調査報告書

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参考 カガミガイ製貝刃

1-3 メモ

ハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃の分布特性は、総観的にみて特段の差異を見つけることはできません。分布という観点で資料を扱うときは一つの資料として扱ってよいようです。

2 有吉北貝塚北斜面貝層 貝刃分布

ハマグリ製貝刃とカガミガイ製貝刃の資料を集成した資料で分布図を作成しました。

有吉北貝塚北斜面貝層 貝刃分布

データ出典:発掘調査報告書

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3Dモデルの動画

3 メモ

貝刃は北斜面貝層に満遍なく分布しますが、ガリー谷頭では少なくなっています。土錘の分布と少し似ています。ガリー谷頭付近は散乱人骨が集中出土していて埋葬儀礼空間であったと推定できますので、それと貝刃出土量の少なさが関係していると仮説しておきます。今後作成する各種遺物分布図とさらに比較して考察を深めます。


2024年8月11日日曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 乳児骨分布

 Distribution of infant bones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of infant bones excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound was created. The area where scattered adult bones were concentrated is slightly different from the area where infant bones were concentrated. It seems that the main burial sites for adults and infants were different.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した乳児骨の分布図を作成しました。大人の散乱骨密集域と乳児骨密集域は微妙に異なります。大人と乳児のメイン埋葬場所は異なっていたようです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 乳児骨・乳歯分布

有吉北貝塚北斜面貝層 乳児骨・乳歯分布

データ出典:発掘調査報告書

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2 メモ

散乱人骨の出土件数346件のうち乳児骨・乳歯は14件(4%)となります。

グリッド別分布を散乱人骨全体と乳児骨・乳歯の比較をすると次のような差異が浮かび上がります。

1 散乱骨全体の分布はガリー谷頭部密集域とその他の散漫域に分かれましたが、乳児骨・乳歯は2箇所の密集域とその他の散漫域に分かれて、分布特性が異なります。

2 乳児骨・乳歯の最大の密集域は散乱骨全体の密集域に隣接していますが、異なる場所です。大人の埋葬のメインの場所と乳児埋葬のメインの場所が近くではあるけれども明白に違う場所であることに興味が生まれます。

3 乳児骨・乳歯の2番目の密集域は散乱骨全体の密集域と重なります。大人の埋葬場所と同じ場所に埋葬される乳児とそこから離れた場所に埋葬される乳児がいたことになります。

4 乳児骨・乳歯の分布も散漫に分布している場所があります。


乳児骨・乳歯の分布特性


参考 散乱人骨の分布


2024年8月10日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布

 Distribution of scattered human bones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of the scattered human bones excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound was created. The distribution is divided into two areas: dense and scattered. The dense area corresponds to the area with a high concentration of earthen earrings, and it is likely that this was the burial site of bodies wearing earrings.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した散乱人骨の分布図を作成しました。分布は密集域と散漫域に2分されます。密集域は土製耳飾密集域と対応し、耳飾着装遺体の埋葬場所と想定できそうです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布

有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布

データ出典:発掘調査報告書

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2 メモ

2-1 分布特性

散乱人骨の分布はガリー谷頭部に集中して出土するものと、貝層に広く散漫に出土するものに分かれます。散乱人骨集中域はそのゾーンが埋葬ゾーンだった可能性があります。広く散漫に出土する散乱人骨がどのような性格のものであるのか、今後検討を深めることにします。


散乱人骨密集域と散漫分布域

2-2 散乱人骨密集域と土製耳飾り密集域の対応

散乱人骨密集域と土製耳飾り密集域が対応します。この対応は、耳飾りを着装した遺体が埋葬された結果が表現されていると考えます。この考えを、今後作成する遺物単位3D座標データにより、散乱人骨と土製耳飾りの対応を精細3D空間空間で観察して、確かめることにします。

散乱人骨分布と土製耳飾り分布

データ出典:発掘調査報告書

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散乱人骨分布と土製耳飾り分布の対応


2024年8月8日木曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 ミニチュア土器等分布

 Distribution of miniature pottery, etc., on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I created a distribution map of miniature pottery, etc., excavated from the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound. There doesn't seem to be any outstanding characteristics in the distribution. Looking at this distribution, I realize the significance of the uneven distribution of earthen earrings.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土したミニチュア土器等分布図を作成しました。分布に際立った特徴は見られないように感じます。この分布を見ていると、土製耳飾りの偏在的分布の意義の重大性に気が付きます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 ミニチュア土器等分布

有吉北貝塚北斜面貝層 ミニチュア土器等分布

データ出典:発掘調査報告書

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2 メモ

2-1 ミニチュア土器実測図


ミニチュア土器実測図(発掘調査報告書から引用)

2-2 その他の土製品


その他の土製品実測図(発掘調査報告書から引用)

2-3 分布特性について

・ミニチュア土器とその他の土製品の出土グリッドがたまたま重ならなかったので、1つの分布図に双方を表現しました。

・ミニチュア土器もその他の土製品も特段の注目すべき分布特性はみつかりません。

・ミニチュア土器とその他の土製品の分散した分布と土製耳飾りの分布を比べると、土製耳飾りの偏在分布の意義の重大さに改めて気が付きます。


土製耳飾りの分布


2024年8月7日水曜日

土製耳飾分布

 Distribution of clay earrings


A grid-based distribution map of clay earrings excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound has been created. The area where they are concentrated is clear. Previous surveys have shown that this area overlaps with an area where scattered human bones are concentrated.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した土製耳飾のグリッド別分布図を作成しました。出土密集域が明白です。この密集域はこれまでの調査で散乱人骨密集域と重なることが判っています。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 土製耳飾分布

有吉北貝塚北斜面貝層 土製耳飾分布

データ出典:発掘調査報告書

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2 メモ

2-1 土製耳飾実測図


前期土製耳飾実測図


中期土製耳飾実測図

2-2 分布特性について

・前期土製耳飾と中期土製耳飾の出土グリッドがたまたま重ならなかったので、1つの分布図で表現しました。

・土製耳飾の分布偏在性は明白です。

・過去に調査した散乱人骨分布図と対照すると、分布中心域が重なります。


散乱人骨分布図

2022.10.22記事「有吉北貝塚北斜面貝層 装飾品分布とその考察

・早速正確な散乱人骨分布図を作成して、その相関をみてみることにします。

・耳飾を着装した遺体が埋葬され、斜面であるとともにガリー侵食域であるため人骨と耳飾が流された状況が発掘されたようです。密集域の様子から耳飾・人骨が流された距離は数メートル程度の場合が多く、遠距離までのものもあるようです。


縄文時代儀礼カタログ

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 14


Jomon Period Ritual Catalog



Study 14 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I studied the first chapter of “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi. This introduces Jomon period ritual activities like a catalog, and it seems like it will be a useful resource for future Jomon studies. It also describes how Jomon period rituals developed from individual and small group activities to collective and large group activities, and their significance.


谷口康浩著「土偶と石棒」の第1章最初を学習しました。ここでは縄文時代儀礼活動がカタログのように紹介されていて、今後の縄文学習に役立つ資料になりそうです。また、縄文時代儀礼が個人的・小人数的活動から集団的・大人数的活動に発達することとその意義についても述べられています。

第1章 縄文時代の儀礼と社会

1 縄文時代後半の儀礼文化

【抜書・要約】

●多様な宗教文化の存在

・縄文時代には実は多様な儀礼や祭祀があり、その文化を共有し伝承する社会が各地に存在した。それは「アニミズム」とか「呪術」という言葉で概括できるものではなく、多様な宗教文化の存在を示している。

●縄文人が儀礼をおこなった考古学的証拠

・葬制や配石遺構、

・土偶や石棒、

・炉(火)をめぐる儀礼、

・竪穴住居廃絶儀礼、

・物語性文様(人体文や動物文)、

・身体加工(抜歯、入れ墨)、

・動物儀礼

●中期以降の特に注目される変化

・集団墓の造営と儀礼(前期)、

・土器の象徴的造形と物語性文様の発達(中期)、

・土偶の盛行と型式・系統の発生(中期)、

・石棒の盛行と製作遺跡の出現(中期)、

・再葬の発達と葬制の複雑化(後期・晩期)、

・環状列石・大規模配石の築造(中期末~後期・晩期)、

・儀礼用の精製土器の発達(後期・晩期)、

・抜歯の盛行(後期・晩期)など

●儀礼や祭祀に関わる人数規模

・草創期・早期土偶→小さく個人や小人数の行為での使用が想定できる。

・前期以降の集団墓造営、後期の大規模環状列石築造→多くの人々が関与・協力した組織的行為

・北海道後期末周堤墓、関東後期・晩期環状盛土遺構→集団共同参画による造営、集団的儀礼→その行為自体が社会集団統合の維持・強化となった

●縄文時代後半に、社会秩序維持にとって儀礼祭祀の重要性が増大

・宗教的イデオロギーが社会統合の中核的原理となりつつあった。

・大規模な共同祭儀はさまざまな役割を分掌する個人や集団の存在を前提とする。

・司祭者の存在が欠かせない。

【感想・メモ】

・この小節は縄文時代儀礼カタログといえる貴重な情報であると認識して、今後の学習で活用することにします。縄文時代の主要儀礼リストを労なく入手できたことになります。

・儀礼が個人的小人数的な規模から集団的大人数的な規模に変化し、その変化が社会複雑化に対応していることを知る(確認する)ことができました。

・さらに、社会複雑化が進行した縄文時代後半には儀礼活動が社会秩序維持に重要な役割を果たしていたことを知る(確認する)ことができました。

【感想 2】

儀礼活動の例として、「関東後期・晩期環状盛土遺構→集団共同参画による造営、集団的儀礼」が出ています。この例に触発されて、次のような感想が頭に浮かび上がっていますので、忘れないうちにメモしておきます。

現在学習中の有吉北貝塚北斜面貝層は、ガリー侵食谷埋土遺構と呼べるもので、集落住民による共同参画により短期間に意識的に造営された可能性がある。集中して観察される散乱人骨、儀礼跡である可能性が濃厚な遺物(多数のイノシシ顎骨、完形出土する祭祀用土器・・・)、集中投棄された土器、純貝層投棄時期と混貝土層形成期の繰り返しなど。

ガリー侵食地形を遺物と貝層で埋めつくした直後、有吉北貝塚集落がほぼ消滅します。集落廃絶と埋土遺構形成が関連するのかもしれません。


土偶(本文と関係ありません)


2024年8月5日月曜日

土製円盤分布

 Distribution of clay disks


I created a grid-based distribution map of clay disks excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. It seems that many were excavated from the edge of the shell layer. What are clay disks? Are they grinding tools?


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した土製円盤のグリッド別分布図を作成しました。貝層縁辺部からの出土が多いように見えます。土製円盤とは何でしょうか?研磨道具でしょうか?

1 有吉北貝塚北斜面貝層 土製円盤分布

有吉北貝塚北斜面貝層 土製円盤分布

データ出典:発掘調査報告書

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3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 メモ


円盤実測図(発掘調査報告書から引用)

有吉北貝塚からの円盤出土数は63で、北斜面貝層から18点出しています。

分布をみると、貝層縁辺部からの出土が多いような印象を受けます。

土製円盤とは何でしょうか?研磨道具でしょうか?


2024年8月4日日曜日

中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of hollow clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba)


I created a 3D model of the observation record of the hollow clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum's special exhibition "Faces of Clay Figurines from the Jomon Period." Because the clay figurine is small, the details could not be observed in the exhibit, but with the 3D model, it is now possible to observe them in detail. The right ear has an earring with a circle and a cross pattern.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている中空土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。土偶が小さいため、展示では細部が観察できなかったのですが、3Dモデルで詳しく観察できるようになりました。右耳に〇に十字文様の耳飾りがあります。

1 中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

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3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

展示では、現物が小さくしゃがみ込む姿勢でないと正面が良く見えないため、細かい観察ができませんでした。しかし、3Dモデルにすると、じっくり観察することができます。

・口と鼻が接触しているように造形されている。

・下顎が出っ張っているような口になっている。

・口の周りにブツブツがあるように感じる。(意図した造形ではない可能性もある。)

・右顔面輪郭が顔から出っ張る大きな耳のような形状になっていて、異様である。

・右顔面輪郭の後ろに〇に十字文様の耳飾りが観察できる。

【考察】

この土偶の顔面は平面的ではなく、とても立体的に造形されています。しかし、顔面輪郭が強調されて造形されていて、その後ろに耳飾りがあります。この造形から、この土偶は仮面を被った顔面(顔面は平面になる)の女神像に由来する造形であると考えます。作者は中空土偶という立体的土偶をつくる際に、リアルな仮面姿を造形するのではなく、自分のイメージでこの土偶を造形したものと想像します。


土錘分布と魚骨鱗分布

 Distribution of clay weights and fish bone scales


As part of my efforts to create a database of artifacts on the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, I arranged the distribution of clay weights and fish bone scales by grid. The characteristics of the distribution of clay weights (two peaks) correspond perfectly to the distribution of fish bone scales. It seems that the area where the means of fishing production were disposed of was limited.


有吉北貝塚北斜面貝層の遺物データベース作成活動の一環で、グリッド別に土錘分布と魚骨鱗分布を並べてみました。土錘分布の特徴(2つの山)が魚骨鱗分布と見事に対応します。漁業生産手段廃棄場所が限定されていたことが読みとれるようです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 土錘分布と魚骨鱗分布

有吉北貝塚北斜面貝層 土錘分布と魚骨鱗分布

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘出土数(発掘調査報告書)

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別魚骨・鱗出土件数(遺物台帳)

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3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

有吉北貝塚北斜面貝層の遺物データベース作成活動の一環で、グリッド別に土錘分布と魚骨鱗分布を並べてみました。土錘分布の特徴(2つの山)が魚骨鱗分布と見事に対応します。漁業生産手段廃棄場所が限定されていたことが読みとれるようです。


土錘分布と魚骨鱗分布の大小の山が対応する

3 感想

この検討は土錘分布や魚骨鱗分布に特段の興味があって進めたものではありません。遺物台帳と発掘調査報告書掲載遺物リストから構成するリレーショナルデーターベース(RDB)試作の一環で、RDBの使い勝手を確認する試験作業の様子です。RDB(postgreSQLを利用)の使い勝手が向上してきました。土錘データ、魚骨鱗データなどが素早く取得でき、その分析活動(グリッド別集計→3D座標付与→3D棒グラフ作成)もルーチンの流れ作業で素早くできるようになりました。

たまたまテスト事例として扱った土錘分布と魚骨鱗分布ですが、その二つを比べると、分布の山があからさまに対応することが判明しました。土錘とは漁網を意味し、それが出土する場所は、壊れた漁網の廃棄場所を意味していると考えられます。魚骨鱗の出土場所とは食材にならない鱗、鰓、骨が廃棄された場所であると考えられます。土錘と魚骨鱗の分布の山が対応する場所があるということは、生産活動に関連したモノの破棄場所がある程度限定されたゾーンに存在していたことを示唆しています。この場所が儀礼活動の場所と重なるのか、重ならないのか興味が湧きます。これまでの検討では、散乱人骨集中場所と土錘分布や魚骨鱗分布場所の山は、分離しているように観察できます。


2024年8月1日木曜日

2024年7月ブログ活動のふりかえり

 A look back at blog activities in June 2024


I looked back on the activities of the blog “Walking the Hanami River Basin” in June 2024.

I enjoyed various considerations and work to turn the Ariyoshi Kita Shell Mound north slope shell layer artifact register file into a relational database. I also enjoyed considering the creation of a 3D model of a clay figurine and learning about rituals.


ブログ「花見川流域を歩く」の2024年7月活動をふりかえりました。

有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳ファイルをリレーショナルデータベースにするために、多様な検討と作業を楽しみました。土偶3Dモデル作成検討や儀礼学習も楽しみました。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2024年7月の記事数は35です。2021年1月に記事数38を記録しましたが、それ以来の記事数となりました。

・6月に素入力を終えた有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳ファイルを使いやすいデータベースにするための次の検討を行いました。

1 遺物台帳ファイルの整序や名称分類など

2 遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データを同一データベースにするための検討

2-1 発掘調査報告書掲載データ(例土錘)の電子化(ChatGPT活用)

2-2 発掘調査報告書掲載データ(例土錘)のグリッド分析(3Dモデル表現)

2-3 遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データを含むデータベースの試作(postgreSQL活用)

2-3 遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データの関連分析試行(postgreSQLによるテーブル結合)

3 2を可能とするためのpostgreSQL分析の基礎技術習得

・千葉県立中央博物館企画展展示物の3Dモデル作成とその検討を行いました。岩版や土偶に関してとても学習しがいのある活動となりました。

・加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」を観覧し、展示物の3Dモデル作成とその検討を行いました。土偶に関して新しい知見も得られ、とても充実した学習となっています。

・谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習記事を6編書きました。

・ブログ記事数が4000を通過しました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事2編を書きました。

3 2024年7月活動の特徴

3-1 有吉北貝塚北斜面貝層学習

・6月に遺物台帳素入力が完工し、当初の予定では遺物分布図電子化に突入する予定でした。しかし、7月1日の6月ふりかえり記事作成の中で、遺物台帳ファイルの基礎的分析や発掘調査報告書掲載データとのリンクの重要性に気が付き、遺物台帳ファイルと発掘調査報告書掲載情報ファイルを含むリレーショナルデータベース試作をすることにしました。この予定変更により遺物台帳ファイルに対する認識が深まりました。予定変更が功を奏しました。

・リレーショナルデータベースソフトpostgreSQLがヨチヨチ歩きながら使えるようになりました。

3-2 展示物3Dモデル作成

・千葉県立中央博物館と加曽利貝塚博物館の展示物3Dモデル作成とその検討活動では、次のような自分の活動スタイルを確立できたような感覚を持つことができました。

1 興味のある展示は複数回観覧する。

2 最初の観覧では撮影に入る前に全展示物をじっくり見て、何が自分にとって面白いのか品定め(興味優先順位見積)する。その後、全展示物・説明を撮影する。

3 最初の観覧で残った時間、及び2回目以降の観覧で、興味優先順位の高いモノから3Dモデル用撮影をする。

4 観覧した日の夜に、撮影順番等の記憶が残っている状況で、撮影写真の整理を行い、いつでも3Dモデル作成に入れるようにする。

3-3 儀礼学習

・儀礼学習では、学習の様子を文章だけで書き、文章とは無関係のイメージ画像を貼付することにより記事作成が気軽にできるようになりました。

4 2024年8月活動の展望

4-1 有吉北貝塚北斜面貝層学習

・発掘調査報告書掲載遺物リスト全部を電子化して、遺物台帳ファイルと一緒のデータベースに格納できるように作業を進めます。必要に応じて遺物分布等について検討します。この作業は8月完結を目指します。

・この作業の後は貝層分布図の検討に入り、それが終わってから遺物分布図電子化に取り組むことにします。このような作業順番にすることにより、作成データの内容理解(遺物出土状況や分布状況の理解)が進み、つまり興味が深まります。それにより学習の充実感が増し、つらい単純作業を含む学習継続が保証されると期待します。

4-2 土偶等の3Dモデル作成検討

土偶等の3Dモデル作成検討では、新たな3Dモデルを順次作成するとともに、次のような問題意識で過去記事等から情報して記事化します。

・みみずく土偶顔面の背面資料(実測図等)に顔面が仮面である情報が見つかるか。

・山形土偶顔面の背面資料(実測図等)に顔面が仮面であると考えられる情報がある。

・みみずく土偶の顔面の意義について説明図を作成する。

・山形土偶顔面の意義について、これまで作成した数種の説明図を並べて、検討する。

・千葉市内野第1遺跡が全国でも有数の土偶出土遺跡である意義について検討する。(集まりやすい地理的条件、植物栽培の有利条件だったかもしれない長沼の存在など)

・土版(内野第1)の意匠と岩版意匠の比較による土版の意義(同じ婚姻儀礼道具か?)

・土版(内野第1)「かわいい」顔の意義(認知考古学)

4-3 儀礼学習

・図書「土偶と石棒」学習を進めます。

・この図書で紹介された参考図書・文献にうち興味のあるものについて寄道学習をすることにします。

・寄道学習に多くの時間を削くことは得策ではありません。一方寄道学習をしたい欲望は大きいです。そこで、例えば入手した参考図書・文献1つについて、それを「丸1日だけ時間を割いて読み、その範囲で得た情報と感想をまとめて記事にする」などの工夫を試行することとします。入手した図書をじっくり読もうと思っていると、結局何も読まないで放置することになります。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2024年7月記事 〇は閲覧の多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2024年7月記事


2024年7月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2024年7月 YouTubeに投稿した動画


2024年7月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像